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「私家随想録」とタイトルを付けさせて頂いたpageですが、こちらでは店主の着物や染織に関する視線を何となく文章としたものです。
そもそも、弊店HPを開設した1999年8月にはBlogと言う存在もなく、HPの中で「店主の着物に付いてのお話」を掲載したのが、このpageを始めるきっかけででした。
恐らく、着物/染織に関するお話について客観的な情報は極めて少ないかと思いますので、知識としてご参考になるものではないかとも思います。
なお、掲載記事と掲載画像とは基本的に関係がありません。掲載画像はあくまでもイメージとして捉えて下さいます様、お願い致します。
手描き京友禅

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きものと染織のお話
着物の悦び
名古屋 呉服屋
Back.No_+33
着物の悦び

「和服の美しさ」の創っている要素のひとつに「色彩美」が挙げられると思います。
ご存じの通り、和服には、洋服の様な「デザインの多様性」が皆無です。つまり、和服の印象は、素材と色彩、そして、コーディネイトに尽きると言う表現も出来るかと思います。
ただ、その中で、「素材感」なるものは、着物初心者にはとても分かり難いモノの様に思います。
もちろん、この素材感が着物・帯の価格に反映している訳で、分かり難さが着物を買い慣れていない方に不安を感じさせている筈。
その点で、着物は「美術工芸品」に近いのかも知れません。事実、「美術工芸品」を買い求める際に、信頼の置ける美術商以外は「危ない橋」を覚悟しなければ後悔する事もあると聞いています。

話は、逸れましたが。。
ただ、「和服の色彩」は、和服に関心のない方であっても、特別な印象が残るのではないかと思います。染織に依って表現されるテキスタイルデザインには、人の眼を惹き付ける魅力があると思います。
また、染めの着物でも、織の着物でも、また、西陣織であっても、色彩と柄・文様の意図的な融合が「和服」の印象を創っているのだと思います。
無意識的にも、和服の美しさ=色彩美と感じることさえあるのかも知れません、外国人が着物を日本文化の印象のひとつに挙げる理由もココにあるのではないでしょうか?

さてさて。。そんな和服の色彩に付いてですが、日本伝統の「色」は膨大な色数を持っています。江戸時代には、既に「四十八茶百鼠」と言う言葉が表すように茶色に「48色」、鼠色に至っては「100色」の色彩名称があったようなのです。これらの色彩は、色彩染料を混ぜ合わせて偶然生じた色彩に対する名称ではなくて、意図的に使用される、つまり、必要な色彩だったからこそ、わざわざ名称を付けて具体的な色彩とされた筈なのです。過去から、現在に至るまで、名称の付けられた色彩の殆どは必要に応じて生まれた色彩なのです。


さて、そこで。。必ずしも「色彩=美」ではないと思います。つまり、色彩の全てが、私たちの眼に「美しい」と感じる訳ではないと言う事です。エルメスのウィンドウや超高級着物専門店の京友禅の色彩には「美意識」が感じられるかもしれませんが、「色そのもの」には「美」は潜在していない筈です。実際に、ただの「黒色」や「白色」をみて「綺麗」と言う意識は特に働かないと思います。

着物の悦び

この仕事(一応、着物専門店の経営者なんですが...)をしていて、気が付いたことがあります。もちろん、色彩についてなんですが。。
あるお客様のお好みが、「綺麗な色」、例えば、ピンク色であるとか、薄いブルー色であるとかを好んで居られる際にも、偶然、眼に留めて戴いた着物・帯の色彩の中で、お好みとは全く別印象の「灰色」であるとか「鶯色」の色彩を御覧になって、「綺麗な色ですね」と言われることがあるのです。
私としては、お客様の持っているお好みの印象が「明るい色彩感覚」と認識しているにも関わらず(もちろん、私の誤認ではないのですが)、Dark系色の色彩をみて「綺麗」と表される訳です。こうした事は、ひとり、ふたりに限った事ではなくて、着物をちょっと見慣れてきた方の中にちょくちょくある事です。では、好みの色彩とは全く異なった色彩を「綺麗」と表して、その色彩のモノを購入するか、と言えば、それは殆どの場合あり得ない事です。
ここで、お話として出させて戴いたのは、あくまでも、色彩の印象にについてなのです。

こうした色彩に対する印象は、やはり、「色彩」が眼を惹き付けているのだと思います。「色彩」に生命みたいなモノが宿っていて、魅力を呈しているのだと思います。
「好みの色彩」とは全くかけ離れた色彩に、時として「綺麗」と表してしまう、その色彩は「確実」に品質の良い仕事が施されています。
それは単一色である場合もあれば、柄・文様として複数色が混ざり合い、重なり合い、色彩の印象を創っている場合も、あります。ただ、確実に「綺麗」と言う言葉が漏れる、その対象物には、良い仕事が施されているのです。これは、やはり、創った者の意志みたいなモノが見る者の色彩感覚を刺激するのかも知れません。
もちろん、これは和服に限った事ではなくて、トップブランドのドレスやバック、絵画など、意匠を凝らして創られた物にある事なのではないかと思います。創り手の意識が伝わっているんですね。

また、色彩意識についてなんですが。。。
この色彩の感覚というのは、人に依って印象が異なります。もちろん、土地に依っても随分と傾向があります。東京では、単彩系の色調とか、派手さを控えた色調が傾向的に好まれる事が多いようですが、西日本では、「はなやか」な色調と多彩色の色彩を「和服」に求められる傾向が多いようです。京都の染め屋さんに出入りしていると「東京から関東近辺にて売れている色彩」と「西日本で売れている色彩」色彩印象に違いが感じられます。
数ヶ月に一度、弊店に顔を出してくれる京の染め屋がいるのですが、どうやら、東京に出掛ける「途中」の様で、みせてくれる着物は、どれも明らかに「東京好み」を思わせる友禅ばかりなのです。
弊店でも、ご遠方より来店される方も居られるので、頭から「色の好み」の違いを言う訳ではないのですが、彼が持ってくる友禅の全てが「東に出掛ける、ついでに寄ったよ。。。」と言う印象を受けるので、ちょっと困っています。

ここ数年、着物雑誌の普及と新しい視線で「和服」を捉える方が多くなった為、こうした色彩と地方の傾向も昔ほど明確ではなくなって来ている様に感じられます。
ただ、最初の話に戻るのですが、「和服」の第一印象は「色彩」なんだと思います。どんなに柄・文様が完成されていても、また、施された仕事が卓絶していても、色彩(仕事が良い場合は色彩もバランスも良いのですが)が「好み」に適っていなければ、その作品の魅力や印象は半減すると思います。また、「色彩」が完成されていたり、創り手の意匠が込められた「色彩」には無意識的な魅力が宿るのだと思います。たとえ好みでない色彩にふっと誘惑されたり、また、何年経ってもその色彩に飽くことがなかったり。。。

私は、着物や帯を仕入れたり、誂えたりする際に、いつも「色彩」で悩みます。
人がときめいてくれる色はどんな色なんだろうと。。。

2005/02/**update
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