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「私家随想録」とタイトルを付けさせて頂いたpageですが、こちらでは店主の着物や染織に関する視線を何となく文章としたものです。
そもそも、弊店HPを開設した1999年8月にはBlogと言う存在もなく、HPの中で「店主の着物に付いてのお話」を掲載したのが、このpageを始めるきっかけででした。
恐らく、着物/染織に関するお話について客観的な情報は極めて少ないかと思いますので、知識としてご参考になるものではないかとも思います。
なお、掲載記事と掲載画像とは基本的に関係がありません。掲載画像はあくまでもイメージとして捉えて下さいます様、お願い致します。
手描き京友禅

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きものと染織のお話
着物の悦び
名古屋 呉服屋
Back.No_+34
着物の悦び
士乎路紬
型絵染め帯:森田麻里(国画会)

和服のセールスポイントに付いて、改めて思い返してみると、説得力のある言葉が、直感的に出てきません。
一般的には「とても手間の掛かった」とか「一生物」であるとか、「滅多に手に入らない」とかと言う事場になりそうです。
ただ、なんとなく、こうした言葉は、本当に着物に対するセールスポイントと成り得るのだろうか? と私は少々懐疑的なのです。
確かに、弊店で扱っている着物や帯については「手間が掛かっている」だろうし、「かなり使用頻度にも耐え得る」と信じていますし、「なかなか仕入れもままならない」品目もあります。
ただ、どんな着物に対しても、また、誰に対しても、一様に判で押したような、言葉を並べるのは、本当に着物のセールスポイントを謳っているとは思えないような気がするのです。
洋服には、シーズン毎の流行があり、色彩があり、コーディネイトがあります。
消費者が好むと好まざるとを問わず「トレンド」が迫ってくる訳です。どの様に、受け止めるか、昇華するかは、個人の感性・ファッションに対する感性に依るかと思いますが、流行に対して相対的である事は間違いはないようです。一方、和服については、敢えて言えば、大きな流行の波みたいなモノはある様に感じられますが、その「波」に乗っているかどうか?はそのひとの「和服の趣味の高さ」とは直接的な関係は強くはないように感じられます。
要するに「和服の趣味の良さ」は流行とはあまり関係がないと言う事です。シーズン毎に流行の波が押し寄せてくる洋服のセールスポイントは、やはり、そのシーズンのファッションポイントにあるかと思います。色彩であり、アイテムであり、新たなるブランドの台頭であるのです。
市場は、とにかく、そのシーズンのトレンドをアピールする訳です。ブティックやShopでは、強引な販売はありません。ただ、ひたすらウィンドウには、そのシーズンの色彩やトレンドが溢れているのです。

先程、申し上げたように、和服にはタイムリーな流行が感じられないのです。装う者としては、流行に反応して装うのではなくて、熟成された装いの趣味が表現される訳です。着物の趣味が良い、帯の趣味が良いとは、選ばれた着物や帯が、その装う者の中でしっかりと熟成されているような気がするのです。
となると、販売する側としては「何を売り文句」にしてお客様に提案べきなのでしょうか?
私の姿勢としては、和服を求める方に対して、創られた染物・織物を提案する事にしています。
和服を求められている方の「趣味」に適った染物・織物を提案する訳です。あくまでも、求められている方の「趣味・趣向」が先行して訳です。これは私の個人的な見解ですが。。

着物の悦び
本場黄八丈:山下八百子
西陣織袋帯:洛風林

和服を「ライフスタイル」の中に取り込んでいる方、また、これから取り込んで行こうとされる方は、ある種、私に対する理解が熟成して居られるような気がします。
着物初心者なんで言葉があります。来店される方の中で「私は着物初心者なので...」で言われる方も居られます。
ただ、お話をさせて戴いていると、「和服を買い求めると言う点に限っては初心者」なのかもれませんが、「和服に対する理解」はとても深く感心させられる事があります。
それは「和服に対する装いの価値観」みたいな物を身に付けて居られる訳です。それは「価格的」な発想ではありません。
「どんなイメージで装ってみたいのか」と言うイメージをある程度しっかりと持って居られるんですね。
ただ、「初心者」と言われるだけあって、具体的に「イメージ・趣向」に適った着物・帯が何であるのか、分からない。ですから、私としては、それを提案していく訳です。
もちろん、その提案の中で、多少、その趣向は変化していくようです。
着物を顔にあて「顔映り」をみる。イメージの色彩や素材感が、果たして「映る」かどうかをみる訳です。そして、帯と組み合わせて行く。その過程は、イメージや趣向を組み替えたり、StepUpしたりする訳です。
この時、ちょくちょく思うのですが、この「step」は、和服を買い求める楽しみのひとつなんだと思います。個人的な「趣味(抽象的なイメージ)」の範囲があって、その「範囲」の中に様々な着物や帯が入り込んで、組み合わせり、通り抜けて来たところで、具体的な「趣味」となる訳です。和服を買う前と、買った後で、「趣味が悪くなる」事はあり得ないと思います。もし、あり得るとすれば、余程呉服屋が悪いのです。通常は、新たに着物を買い求める、帯を買い求める、和装小物をあわせる事で、趣味がStepUpする筈なのです。和服を買い求めることは、具体的な「物」をGetする悦びだけではなくて、趣味のStepUpも同時に行われているのです。

今回のコラムの冒頭に「和服のセールスポイント」のお話を致しました。確かに、和服は「趣味」としての位置付けもありますが、一方でプレステージとしての「和服」と言う理解もあります。ある種「資産価値」としての見方ですね。
これも、確かに和服の価値観だと思います。
しかし、その価値観に対しても「趣味」「趣向」が発生すると思います。流行に左右されない、装う者・求める者の価値感・私に対する認識が、優先するのだと思います。着物が日常着から離れてしまい、冠婚葬祭の折にも和服が少なくなって来た現在。希少性や品質の高さを謳う事よりも、まずは、求められる者の趣味・趣向が大切なような気がします。

2005/04/**update
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着物の悦び
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