こちらにて掲載をさせて頂いたのは「生紬地」に染められた茶屋辻柄模様の染帯。 茶屋辻柄模様は、そもそも、古典的な着物の柄模様として知られた柄模様です。着物の柄模様としては、珍しくはない柄模様でもあります。 にもかかわらず、この帯地に染められた柄模様は茶屋辻としては、とてもよく出来ていると言う感があります。「よく出来ている」とは、とても主観的なる表現なんですが、「珍しくはない柄模様には感じられない」程に綺麗な印象を受けるのです。 こうした感銘は、着物や帯に触れていて、希にあります。 「珍しくはない柄模様」「ありきたりの文様」が、とても魅力的に眼に映るのです。 それは、柄模様や文様そのものが、珍しくはないかもしれませんが、施された仕事が特に丁寧であったり、質が良かったりしているからなのです。日本の伝統工芸や伝統芸能には「写し」なる言葉で表現される行いがあります。手本があり、それを写すと言う行いです。伝統的なる柄模様や文様は、この「写し」となる訳です。 この「写し」に付いては、写す者の気持ち次第で、様々な印象のものになる様な気がするのです。眼の肥えた、腕の良い職人が「写す」のであれば、柄模様と色を似せているだけ以上の何かを写し取ろうとする様なのです。 手本となるものは、何百年もの時代を経て現在に伝えられた文化遺産とされるものです。その手本の保つ姿形だけではなくて、その手本の保つ空気感のようなものをも「写し」取るかの如くの仕事を施す職人もいるのです。 こちらに掲載をさせて頂いた茶屋辻はとても巧く写されています。 染め施された藍の色も染められた柄模様の形もとても綺麗に写し染められています。茶屋辻の柄模様を想う前に、「綺麗」と感じられる「絵」に感情を揺さぶられるのです。 こうした染め帯なんですが、少々砕けた印象の小紋や紬織から無地感覚のお着物と適わせる事で「あらたまった」感じの装いを表現する事が出来ます。茶屋辻と言う柄模様に格調をが求められる訳ではありませんが、こうした古典的なる柄模様は、着物とのバランス感覚を巧く図ることで、様々な装いをつくることができるのです。
袷からお単衣までお遣い頂ける帯です。