絵羽織：更紗模様

色彩と模様図案、そして、素材の艶感が、印象的に映るかも知れません。もしかすると、それは純日本的な印象とは違っているのかもしれません。
けれども、派手な感じもなく、そして、嫌な個性を伝えている訳でもありません。
むしろ、格別な空気感が魅力となって迫って来そうなのです。

彩色はまるで白を想わせるブルーグレイ、そして、更紗はブルーの濃淡で染められています。そして、色彩だけはなくて、素材となっている絹の地紋がつくる質感覚が、色彩と柄模様と重ねることで、眼に映る以上の色彩美を伝えています。
派手な印象や嫌な個性が伝わって来ないのは、色彩を控え、更紗模様が綺麗な構図をもって染められているからです。ごく自然に綺麗に映る様に配慮がなされている。この綺麗さは、エキゾチックな綺麗さではなくて、着物の綺麗さを想いながらつくられている様です。

この絵羽織は、着物を飾る羽織としても、とても綺麗です。
素材品質が求められた着物は、無地感覚のお着物となることが多いかと思います。素材の美しい着物に馴染む、綺麗さがこの絵羽織からは感じられます。
柄模様の衒いを求めたのではなくて、着物姿を綺麗に飾るために、制作されたからなんだと思います。

色彩美しく、着物に馴染む綺麗さ、そして、更紗ならではの趣をもった空気が香っています。こうした羽織を着物の上に重ね羽織ることで、装いの綺麗さと趣味の豊かさを､観る者に想わせてくれます。

＊無地系の織のお着物、江戸小紋、文様散らし小紋、色無地、軽い付下などのお着物にあわせてお召し下さい。