玉那覇有公制作:琉球本紅型九寸名古屋帯
=花麒麟模様=
素材:喜如嘉 芭蕉布 縞織
玉那覇有公氏は、琉球本紅型にて人間国宝の認定を受けた染色家です。
そもそも、琉球本紅型は、古来より沖縄に伝承され来た染色手法..、そして、19世紀頃制作された紅型(もちろん、琉球衣装としての紅型なのですが)は、現在、美術館/博物館に所蔵されています。歴史があり、かつ、染色文化財としても永久保存に値する高度な染色だったんですね。
この時代の紅型衣装をみると、不思議なくらい日本的な図案が多いんですね。彩色印象は、日本の染色にはない鮮やかさと大胆な色使いをみることが出来るんですが、その「絵」からは、琉球..、南国を想わせる図案は決して多くはないんです。
松皮菱、桜に、紅葉に、菖蒲に、藤..、これらが琉球衣装に染められることは珍しくはなかったんです。当時の沖縄/琉球は、日本とは違う文化を有していた筈にもかかわらず...、こうした日本的な図案が身分のある階級の衣装に残っていることは、気が付いてみるとおかしなお話です。
しかし、これはどうやら当時の身分階級者の趣向だった様です。琉球の国を統治していた日本の文化が、その時代の琉球にとって最も洗練された文化だったようなんですね。
だから、100年以上前の琉球紅型衣装には、最高の趣向としての図案が紅型で染められているんです...、日本的な図案です。
玉那覇有公氏が制作する作品には、伝承されてきた紅型にはない存在感が感じられます。
日本的な図案..、菖蒲を染め、鞠を染めし、鶴も染める、そして、沖縄を主題とした図案も染める、魚や蟹、そして、芭蕉も染めるんです。
しかし、染められる図案は、何もかも玉那覇有公の世界に満ちている..、そこに描かれる主題は、「絵」と言うものからさえも離れて、イメージ化が展開されて、デザイン化がなされるんです。
それまで..、玉那覇有公が描き出すまではどこにもなかった図案です。
玉那覇有公氏の作品の多くは、いつもどこかに植物、花がモチーフとして取り上げられています..、その花は、制作者のイメージの中に取り込まれることで、現実のかたちや色、姿から離れ、デザイン化されるんです。
デザインの多くは...、繊細で、精緻なデザインが整然と並べれることで構成されていて、ひとつのイメージの図案を構成します。
要するに、細かな模様をデザインして、それらをひとつひとつ並べることでひとつの図案イメージが構成されている。
そして、細かな模様に色を挿し込んで行く..、その色は、やはり、ひとつひとつ取り上げてみると、決して南国的とは言えない色だったりします。派手さはなく、控えられた感じがある色...、でも、そうした色が、細かく、小さな模様に挿し込まれて行くと...、琉球の色模様を想わせる色印象として浮かび上がってくるんです。
色彩表現も..、その図案と同じく、玉那覇有公特有の感覚があるのです。
玉那覇有公氏の紅型は、極めて高度で、かつ、完成されたデザインなんだと思います。
沖縄の自然や歴史、寓話をイメージ化して、デザインとして完成させているんですね。それも伝統的な紅型として違和感も感じられないんです。
こちらの作品は、玉那覇有公氏の傑作的な作品...、「花麒麟模様」です。
やはり、花がイメージ化されてる..、花のように映っているのは、実は、「葉」なんですね。
"花"はと言えば..、傍らに伸びているところの描かれている。
図案全体を、まるで花に見立てて、デザイン化を施されているんです。南国を想わせる美しいデザインではないでしょうか...。
花は..、自然の"かたち"や"色"ではなくなくなります。
"かたち"は、その花のイメージを残して、模様図案のようにかたちが整えられ、彩色が施される。
似たような花や"かたち"が並ぶことが多いんです。けれども、人工的な感じがない..、ウソのようです。自然界にあるものを、デザイン化し、整然とならべる、そして、時に重ねるんです..、にも、かかわらず、人工的な匂いと言うものがない。
この花麒麟模様も、デザインし尽くされている..、現実の花麒麟とは、その"姿"や"かたち"が違う。
玉那覇有公のイメージで「何もかも」といって良いくらい「つくり変えられる」...、計算された図形を重ねるかのような..、デザイン化が計られるんです。そして、洗練された空気を帯びるんです。
けれども、その花麒麟の図案は、あくまでも「花麒麟」の印象を伝えている。
それも..、まるで、自然の光景から残像のようなものを描き出したような錯覚をも憶えるんですね。
クールに洗練されても、なおかつ、自然の原風景を想わせるんです。
さて、この作品なんですが、玉那覇有公の傑作的な紅型が染められているだけではない..、この花麒麟模様が染められている生地素材は「喜如嘉の芭蕉布」なのです。
喜如嘉の芭蕉布は、ご存知の通り、人間国宝の認定を受けた平良敏子氏が、その制作に携わる沖縄古来の織物です。現在では、国定の重要無形文化財に指定されています。
玉那覇有公氏は、日本伝統工芸展や自身の個展と言った「公の展覧会や個展」では、喜如嘉の芭蕉布などの沖縄古来の織物などを使い作品制作をされています。
この喜如嘉の芭蕉布は、やはり、同じ琉球染織である紅型とは相性が良く...、染められた紅型の色艶も喜如嘉の芭蕉布の上では、どこかエキゾチックとも感じられる空気感が漂ってくるのです。
玉那覇有公の花麒麟模様は、洗練された空気をもっている..、花を印象付ける美しい南国の模様です。淀みない白絹布に染められるなら、この花麒麟模様は、王朝的な香りを漂わせたかもしれない...、いま、喜如嘉の芭蕉布に染められることで、古の琉球染織...、和服となる以前の琉球衣装としての紅型の雰囲気を想わせるんです。
エキゾチックではないのかもしれない。時が違う..、100年ほど前の琉球時代を想い感じさせる存在感があるんですね。
この帯地なんですが...、喜如嘉の芭蕉布(平良敏子)が主たるものなのか、紅型(玉那覇有公)が主たるものかなのか...、いずれにしても琉球染織の帯地としては貴重なる作品です。
喜如嘉の芭蕉布に織り込まれた縞織は琉球藍が使われています。
=経歴=
1961年 | 紅型三宗家の一家:城間家14代.城間栄喜(故人)に師事 | |
1970年 | 第22回沖展に初出品 | |
1972年 | 第24回沖展「奨励賞」受賞 | |
1972年 | 第27回沖展「沖展賞」受賞 | |
第10回西部伝統工芸展に初出品 「銀賞」受賞 | ||
第22回日本伝統工芸展に初出品 | ||
1976年 | 沖縄タイムズ芸術賞 「奨励賞」受賞 | |
第28回沖展「準会員賞」受賞 | ||
1977年 | 第29回沖展「準会員賞」受賞 | |
沖展会員推挙 | ||
第12回西部伝統工芸展 「金賞」受賞 | ||
1978年 | 第22回日本伝統工芸展 「奨励賞」 | |
日本工芸会正会員認定 | ||
1979年 | 第26回日本伝統工芸展 「奨励賞」 受賞作品が文化庁買い上げ 東京国立近代美術館所蔵品となる |
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1983年 | 沖縄タイムズ芸術賞 「大賞」受賞 | |
1991年 | 第38回日本伝統工芸展 「文部大臣賞」」受賞 受賞作品が文化庁買い上げ 文化庁保管 |
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1996年 | 国定重要無形文化財「紅型」保持者認定(人間国宝) | |
1998年 | 紫綬褒章受章 |
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