<< 真夏の街に咲いた黄色い花.... | main | お単衣の"着物と帯のあわせ"..、夏久米島ヤシラミ織+西陣織名古屋帯 >>

夏季の装い...、藍がもたらす涼感 || 能登上布と藍絞りの名古屋帯.新道弘之

能登上布+新道弘之//藍絞り名古屋帯前回ご紹介を致しました麻織物/能登上布を使った"夏季の着物と帯のあわせ"をもう少し展開してみたいと思います。

前回、"上布には通常の麻織物にはない上質感がある"なんてお話を書かせて頂いたのですが、これは主観的な意見ではありますが、上布のみならず織物一般で言っても、丁寧な手織で織られた織物には、例え、素朴さや民芸的な雰囲気があったとしても、ちょっとした品位みたいなものが残るものです...。

上布..、麻織物に限って言えば、麻特有の「しわ」にも織物の品質の差で違いが出てきます。
その違いとは、平たく言えば、麻の品質が良ければ良いほど「くちゃくちゃ」にならない...。これは、品質の良い麻生地は、麻糸が細くて、柔らかい、そして、手織で織られているために生地がふんわりとしているために、"しわ"に強さが生まれないようなんです。

絣も同様で、機械織の絣にはどこか定規で引いたような「無感覚」的な絣となりますが、手織の絣は、どんなに正確に織っても、どこか曖昧さが感じられるんのです。
これは、織人が織って行く際に、絣をあわせてながら織りを進めることから生じるため、言うなれば、織人の感覚が、絣織に反映されていると言う訳なんです。


上布にちょっとした品位や上質感が感じられるのは、素材ひとつから吟味されて、丁寧につくられているからなんです。

器に置き換えてみると...、熟練陶工が手掛けた織部の器などは、その姿や形は、素朴なものかもしれませんが、やはり、特有の品位や質感がありますね。量産も織部とは、その用途は同じでも、何もかも違う筈です。


前置きが長くなりましたが...
要するに、手間が掛けられた上布/麻織物は、ちょっとした上質な存在感があると言うことです。ですから、帯との"あわせ"ひとつで、余所行き的なお着物のとしてお召し頂けるのです。

こちらに掲載をさせて頂いた帯は、正藍染めの染色作家.新道弘之氏が制作した藍染めの麻帯です。
比較的硬質な麻生地にしっかり正藍の絞り染めが施されています。この絞り染め"柳絞り"に似ているけれど、紐で絞り縛ることで生じる紐の痕がない...、そして、やたらに細かく絞られているのです。絞り職人の仕事とはちょっと違う空気感があります。

能登上布+新道弘之//藍絞り名古屋帯そして、藍染めなんですが...、藍染めを眼にしていると、何故か涼感みたいなものが感じられはしないでしょうか? 
色濃く染められた藍そのものは、寒色系ではありません。暖色とは言い難いけれども、少なくとも涼しげに感じる色ではないと思います。
ただ、生地..、特に、木綿や麻に染められ、少しだけ生地の"きなり"が残っているように染められた藍染めを眼にすると感じるのです...、色そのものではなくて、まわりの暑さに対する涼感みたいなものです。私は、きっと日本人の特有の涼感覚なんだと思っています。


ご紹介をさせて頂いた"あわせ"ですが...、絣織の能登上布と新道弘之さんの藍染めの麻帯。
"麻の着物が生み出す涼感"をテーマとした"あわせ"としてみました。

きなりの絣織がつくる麻織の質感と藍染め絞りと言う個性を組み合わせてみたのです。

"麻は普段着/街着""絞りは所詮趣向品"と言う揶揄されることがありますが、それは"もの"をネガティヴな視線で捉えているだけで、"もの"の良さを想像をもって楽しめないと思います。

上質な"街着"を趣向を凝らして藍染めの帯と"あわせ"ることで、趣味性豊かな"余所行きのあわせ"となるかと思います。もちろん、正藍が効いた..、涼しげで、そして、品位がある装いとなります。

Comments

Comment Form

コメントの入力はBlog管理者の承認を経由して掲載されます。
また非公開コメントもお受けします。
非公開コメント/非公開レスをご希望の際は
コメントをお寄せの際に「非公開」とお書き添え下さい。
Remember Me?