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有職文様と手織紬...、あるいは、格調と感性。

蟹牡丹錦とばら染めの手織紬きものあわせ"...、と言うBlogCategoryをはじめてみました。

そもそも、先日、少しだけご遠方のお客様とお電話にてお話をしていたところ「お着物と帯のコーディネイトを掲載したら?」とご提案を頂きました。

弊店のHPではお品が..、"お着物"も"帯"も単体で掲載しています。

掲載されたお着物/帯そのものに魅力を感じても、さて、どの様に"あわせる"のかとなると..、この"あわせ"と言うものは、お召しなる方や呉服屋さんなどの主観的な"お好み""趣向"ではあるのですが、やはり、「Marutoyaさんで扱っているお着物や帯は、Marutoyaさんのお好みの"あわせ"」としては「どうなの?」と言うご意見もあるかと思います。

そうしたご意見に対してお応えすべく、このBlogCategoryをつくってみた訳です。

この"きものあわせ"ですが、まぁまぁ常識的な"あわせ"が出来れば良いのですが..、"えっ"と思ってしまう"あわせ"もあるかもしれません。
そこは"主観""趣向""感性"と言う曖昧な言い訳でお許し下さればと思います。

俗に言われている様な"着物と帯の取り合わせ"を理解することは大切かも知れませんが、それは"理解"の範囲内として心に留め置いて...、直感的な"あわせ"の方が、感覚的なる豊かさを感じる"あわせ"となる様な気がします。そして、"感覚的なる豊かさ"から着物の楽しみや悦びが生まれるのではないでしょうか..。

不定期ではありますが、お楽しみ頂ければと思います。



"きものあわせ"..、第一回目は"有職文様と手織紬"の"あわせ"です。

掲載をさせて頂いた西陣織は、喜多川俵二氏が手掛けた有職文様の帯地。銘は"蟹牡丹錦文"。
倭錦(yamatonishiki)と言う紋織物です。

そもそも、有職文様とは..、「公卿階級の装束、装飾品、建築、輿車などに用いられた伝統的文様」とされています。
有職文様は、古より受け継がれて来た格式高き文様とも言えます。

そして、手織紬。
この手織紬、特に著名な染織家が手掛けたものではありません。
また、所謂、機屋さんの生産品でもありません。
織物ひとつで何十年と生計を立てて来られた個人の織人の手織紬です。

織糸のすべては"ばら"で染められています。濃淡数多に染められた数々の織糸を、この織人の感性と感覚、経験だけで織り上げて行くのです。無地織でありながら無地以上の何かを伝えてくれる織物となるのです。
弊店では"ばら染めの手織紬"なんて称しています。


蟹牡丹錦とばら染めの手織紬さて..、格式高き文様が織り込まれた西陣織と草木染め手織紬を"あわせる"と言うのは、ナンセンスと言われるかも知れません。

ここでの"あわせ"の要点は、無地織紬..、特に、質感の高い無地織紬のDress-upを試みると言う点にあります。

通常、無地織紬であるならば、型絵染め帯や紬織帯、西陣織ならば洒落帯と称される帯地が挙げられるところでしょう。

ここで敢えて、有職文様、それも人間国宝である喜多川俵二の"蟹牡丹錦文"をあわせるのは、そもそも紬織物が保っている"普段着意識"を通り越して、無地織紬を"余所行きの特別なお着物"とするためなのです。

ここでちょっと注意しなくてはならないのは...、無地織ならどんな紬織でも、"蟹牡丹錦文"とあわせられるか、と言うと"必ずしもあいません"。
"ばら染め"の手織紬にこめられた感性(無地織でありながら無地以上の何かを伝える感性)と、蟹牡丹錦文の豊かさや格調とが感覚的に巧く繋がっているのです。

*柿色の地色と図案化された牡丹文様は、格調を想わせながらもどこか趣を憶えさせてくれます。その趣が、手織紬の織人の感性を許容しているのかもしれません。

無地織手織紬を"余所行き"の着物として楽しむ。
有職文様の西陣織を"趣味趣向"の帯として楽しむ。

余談になりますが、北村武資氏の経錦袋帯も、紬織のお着物に馴染む場合があります。
この"錦織"と言う西陣織の紋織物の質感は、どうやら現代的な織物に馴染むような感じがするんですね。

最後に..、"ばら染め"の手織紬を掲載致しましたが、本場結城紬や質感の高い手織の無地織紬なども、錦織が施された有職文様の西陣織と馴染んでくれることがあります。


この有職文様/蟹牡丹文と草木染め手織紬のTPOですが..、
*食事会や同窓会などの"集い"や"宴"。
*美術館やギャラリーでの展示会。

垢抜けした、都会的な"きものあわせ"となります。


ご参考までに喜多川俵二氏の有職織物/蟹牡丹錦文に関する資料は*こちらにあります。

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