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ついつい魅入ってしまいませんか?

更紗文様型摺り友禅染め小紋ちょっと不思議な小紋です。

更紗文様が染められた小紋です。
摺り友禅と言って、小紋型を染め重ねて彩色/柄模様を表現する古典的な染色手法が使われています。

彩色はほぼ単彩、柄模様は同じ更紗がひたすら繰り返されているだけです。

この小紋なんですが、眼にしていても不思議なくらいに"飽きない"のです。眼にしていても、自分でどこをみているか、ついつい忘れてしまいそうです。
どこを見ても同じなんですから..。
でも、飽きることなく見てしまうし、むしろ、感情が惹き込まれそうになりそうです。


この更紗の細かい部分と「"その"細かい部分」を部分としている更紗文様..、そして、その更紗が繰り返されること感じられる印象...、それらの印象がすべて同じか、もしくは同じに近いんですね。
具体的には近いけれども、感情の中では"等しい"印象となっているのだと思います。

もちろん、職人の手染めで染められているため、染められた彩色も文様も、"ひと"の痕跡が感じられます。良い意味で"味があって"、反対に言えば"曖昧"な感じがあります。
印刷やプリントでは絶対に伝えられない柔らかさな質感です。

この単彩にして、単調なる小紋が眼にしていても飽きないのは...、細部の文様と全体の文様、そして細部の彩色印象と全体の彩色印象..、これらが、それぞれ全く同じではないけれども、同じ感情を想わせる印象を伝えているからなのです。

よく似た彩色と同じ文様が繰り返される文様は、着物や帯の文様には少なくはありません。古典的な文様の中では、時折、見掛けることがあります。
こうした文様は、眼にしていても、実は気持ちが安定するのかも知れませんね。

ほぼ単彩、同じ更紗文様の繰り返しでありながら、細かな柄模様にまで、ついつい魅入ってしまう..、そんな不思議な小紋です。

もちろん、ご覧になってお気付きかもしれませんが、この更紗文様そのものも、どこかエキゾチックな雰囲気を持っていて"不思議さ"に一役買っているかもしれませんが..

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