川崎淑子 制作:草木染め木綿花織九寸名古屋帯
『びなんかずら』

ソフトなブラウン系の彩りの中に、細密な花織と絣で構成されたデザインは、まるで宝石が鏤められているかのように感じられるかもしれません。藍をはじめ、草木から生まれた染料は、ひとつひとつが自然の息吹を映し、淡く柔らかな光を帯びています。

その彩りは個性を控え、むしろ自然の静かな調べと穏やかさを伝えながら、春の日差しのような明るさを映しています。草木染めと木綿の素朴な温もりに、制作者の洗練された美意識が調和して、気品にも似た趣が馥郁とした香りとなって漂っているようです。

お太鼓のたれ先から手先まで花織が織り出された「全通」になります。

この作品は、木綿と天然染料だけを素材に制作されています。
絹糸・化学染料の使用はありません。