桶絞りの間に染められているのは更紗模様です。
摺り型友禅で染められたこの更紗は、ジャワ更紗やインド更紗とは趣向が違うように感じられます。どちらかと言うと、和の薫りが匂い伝わってくるのを憶えます。古渡り更紗のよう古い時代に渡来した更紗を見本として国内で制作された和更紗のような雰囲気に近いかも知れません。それは、エキゾチックに満ちた空気ではなく、和の趣向を馴染む薫り。
更紗を挟むように施されている桶絞りの加減もあるかもしれませんが、和更紗と小袖の雰囲気が丁度良いくらいに表現されています。凝っているけれども、衒いや無理な空気もなく、着物文化の趣がしっかり詰まっている京都の染め屋：多ち花ならでは素敵な染め帯です。