洛風林 制作：九寸名古屋帯『トルファンの花』

トルファンは、中国新疆ウイグル自治区、天山山脈東部山間の盆地に位置する地名で、ウイグル語では「人と物が豊かな地域」を意味し、古くからシルクロードの要衝として栄えて来た土地です。

「この作品の基本デザインは、およそ1500年前のトルファンのアスターナ遺跡から出土した装飾品の模様から興されています。アスターナ遺跡から出土した装飾品の模様には、交易を通じて飛鳥時代の日本に伝来した模様も存在します。そして、その模様にはある特徴があるようで、人物がモチーフであれ、動物や植物がモチーフであれ、デザインが何となくシンメトリー(対称系)を形成しています。それは、一説には「生命の樹」のイメージと重なっているとも伝えられています。

こちらに掲載をさせて頂いている「トルファンの花」も、文様デザインがシンメトリーで構成されています。シンボリックにデザインされたかのような花の文様は、まるで紋章を想わせる格調を伝え、爽やかで優雅な空気が伝わってくるのを感じます。また、このトルファンのデザインに重ねられているカラフルなストライプは、シンプルなシンメトリーのデザインに奥行きを生み出し、古代中央アジアの装飾性に加えて、現代的アート的なイメージを憶えます。
工芸帯地洛風林の美意識に満ちた名古屋帯です。