北村武資 制作/織繧繝袋帯
『魚々子縞』
繧繝(うんげん)とは、複彩色の濃淡で構成された色彩階調（グラデェーション）が有した染織を指し、日本の染織文化において、奈良時代にまでその起源を遡ることが出来ます。正倉院に伝わる裂(繧繝)には、色彩階調を伴った「菱」や「円」などの小型模様が織り出されています。作品名になっている「魚々子縞(ななこじま)」は、金工で表面に魚の卵が蒔かれているかのように打ち出されたデザイン(魚々子)に重なることに由来しています。
こちらの作品では、つづれ織と平織を細密に組み合わせ、白金を想わせる「白」と繊細な「金彩」との繧繝(グラデェーション)を生み出し、魚々子縞の景色が織り出されています。古代染織の美意識が、制作者の美意識によって現代に生きる染織作品として甦っているかのようです。品格と知性、文化の薫りに満ちた織物(袋帯)です。
| ＊ | 織繧繝袋帯『魚々子縞』との着物あわせ |
| ・ | 金彩刺繍付下『金彩華文』とあわせてみました。 |
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