小島沙織 作
型絵染め九寸名古屋帯:『Palazzo della Ragione-early morning』

作品名『Palazzo della Ragione』は、イタリア・パドヴァ(Padova)のラジョーネ宮殿に由来しています。この宮殿は、13世紀(800年以上前)に建造されたヴェネツィア王国の建造物で、宮殿内には、14世紀から15世紀に掛けて描かれた占星術に関する壮大なフレスコ画で飾られています。中世イタリア文化の繁栄を現代に伝える宮殿です。

この型絵染め『Palazzo della Ragione-early morning』は、制作者がこの宮殿に訪れた時の心象風景として描かれているようです。シンメトリーで構成された模様は、回廊の天井を埋め尽くすかのように描かれていた石榴のフレスコ画のイメージをデザインしたもの。その模様の間に描かれた鳥からは、優雅さと大らかさが伝わって来ます。中世イタリアの荘厳な宮殿と開放感に満ちたパドヴァの空、そんな美しい記憶がデザインされているのかもしれません。

『early morning』。それは早朝、制作者が目にしたラジョーネ宮殿のフラスコ画の表情。澄み切った空気に映る色印象が、その時の美しさを伝えています。

中世イタリア文化の空気漂う型絵染め帯です。