小島沙織 作
型絵染め九寸名古屋帯:『Collégiale Notre-Dame de Chartres -early morning』

この作品のモチーフは、フランスの首都パリ近郊(イル＝ド＝フランス)にあるポワシー (Poissy)にあるキリスト教教会(La Collégiale Notre-Dame)に飾られたステンドグラスをモチーフに制作されています。その教会は、1016年に建造され、ルイ9世が洗礼を受けた教会として知られています。

ポワシーの晴天がもたらしてくれる明るさに満ちた陽光は、ステンドグラスを通じて、中世キリスト教文化の彩りを映しているかのように感じられてます。この作品では、美しいシンメトリーで構成されたデザインが幾重にも連なり、まるで宗教芸術から生まれたアクセサリーを想わせるデザインが展開されています(ステンドグラスを囲むように飛んでいる鳥のデザインは、まるで、ステンドグラスの美しさを讃美しているかのようにも見えてきます)。

制作者が、この教会に立ち寄ったきっかけは、旅の途中でのアクシデントと偶然が重なったとのお話です。そんなイル＝ド＝フランスに位置する見ず知らずの町に訪れた際の不安と感動は、天の彩りと移ろい行く琥珀色の色彩、そして、教会内の静けさとのコントラストとして展開されています。
中世キリスト教文化との邂逅、その心象風景から生まれた作品です。

サブタイトル『early morning』-早朝の陽光に照らし出された古い教会のステンドグラスと屋内の澄んだ明かりが、この作品の色彩イメージになっている様です。