駒井和子 制作
型絵染め帯
ひと目観ると、制作者自身の作品表現に対する美的な感性が伝わって来るのではないでしょうか？ ちょっした存在感をもった型絵染め作品です。
染め描かれた"絵"は、どうやら、"花"のようです。
咲いている花、まだ花びらが開き切っていない花、そして、花の辺りの"葉っぱ"。とりあえず、そんな"花"のイメージが伝わってきます。
眼にしていると、"暗い気持ち"と言うよりも、"明るい気持ち"を憶える。たとえ"冷たい季節"がこの作品のテーマに隠されていても、決して、"冷たさ"を想わせない、"暖かみ"があると言う訳ではなくて、花とか自然の豊かな生命観みたいなものが、この「もしかして、"花の絵"」から伝わってくる様なんですね。
この"もしかして、花の絵"なんですが、花を構成している"花びら"一枚、葉っぱを構成している"葉っぱ"一枚、挿し色が変えられています。
写実としては、こんな"花"や"葉っぱ"はあり得ないけれど、"絵"としての"いびつ"な感じはないし、むしろ、創造的なデザイン性を想わせます。
正面から見た時、横から見た時、斜めから見た時。要するに、立体的な描き方がなされているのかもしれない。また、"花"や"葉っぱ"の移ろいを、同時に表現しているのかもしれない。
"美しい"と言う訳はなく、"綺麗"と言う訳でもない。
染め描かれた"柄模様"とか、"景色"ではないですね。
だから、着物や帯と言った類いの装飾的なイメージも感じられない。
あるのは作品性、制作者の心象に浮かんだ"花"が、"花のかたち"として、または、"花の色"として、表現されているんだと思います。
この型絵染めは、まるで、絵画の様に、制作者の美的な意識の中で染め描かれているんですね。
美しく飾る、歳時記を想わせる、その類いの帯ではありません。
作品としての"豊かさ"みたいなものを愉しませてくれる"型絵染め"、そんな帯なんだと思います。
染色家：駒井和子.作品
| ＊ | 駒井和子 制作 型絵染め帯の着物あわせ．． |
| ・ | 草木染め手織紬 郡上紬とあわせてみました。 |
| ・ | 綿薩摩 亀甲絣(制作:東郷織物)とあわせてみました。 |
| ・ | 首里花織(制作:玉城恵子)とあわせみました。 |
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