生紬：更紗模様染め帯

 

生紬地に染められた更紗。
あざやかさはなく、単彩に近い彩色に止められているんですが、その印象は、とにかく奥深い...。
施された染色は、摺型染め．．．、彩色枚数の型紙を染め重ねることで、図案と彩色が染められて行くのです。
緊張感ある、細密なる仕事を想わせる手描き友禅とは、まるで違う...、色の重なりと滲み加減が、染められた図案に、個性とか趣みたいな感じを想ってしまうのです。

この更紗の染め帯なんですが、一見した感じ以上の質感がある..、彩りあざやかでもない、ほぼ単彩の更紗です。そして、何となく奥深さを想い感じてしまう。
また、単彩であるから、たとえ奥深さなるものを感じていても、イメージが付きやすい．．、ある種のわかりやすさみたいなものがあるんです。

更紗として、実に巧くつくられています。もちろん、帯としても、着物に対してあわせやすく、そして、着物姿に、趣向を表現しやすい帯なんです。

 

帯としては、ちょっと"遊び加減"のある帯になると思います。でも、軽い感じがまるでない．．．、染め布として深い質感だけではなくて、存在感みたいなものがある。大人が真摯に"帯に遊ぶ"ことの出来る安心さに繋がっているんです。

そもそも、更紗は、南方や大陸からの渡来模様であり、何百年と趣味人や数寄者に愛好されて、和文化の中で育まれて来た模様でもある訳です。和文化の中で"趣味性"とか"お遊び的な雰囲気"が、どこかにある...、その本来的な更紗の"空気感"を、この更紗は、摺り型友禅と言う染色手法で、巧く実現しているのです。

適わせるお着物としては、お着物の「色そのもの」や素材の「質感そのもの」に魅力があるお着物．．、無地系の染めのお着物や織のお着物には、そのお着物の個性を引き立たせてくれる筈です。

袷からお単衣まで、お楽しみ頂ける帯です。

 

＊	本場大島紬(草木染め手織)とあわせてみました。 藍染めの色印象と更紗の雰囲気がとても良く馴染んでいます。
＊	草木染め手織紬緯霞み織とあわせてみました。 工芸的な手仕事感覚が伝わる染織印象が感じられます。 無差色グレイ系のお着物に、趣という味わいが雰囲気として感じられる着物あわせとなりました。
＊	八丈織：黒丸まなこ織とあわせみました。 エキゾチックな更紗の空気感がより浮き上がって感じられる様になりました。