手織：夏大島 『秋草』
制作：東郷織物

大島紬には、紬織のお着物の中でも別格的な雰囲気が感じられます。精練された品質の高い絹糸だけが使用され、織り上げられた大島紬には、洗練された空気から生まれる上質な余所行き感覚が満ちています。

こちらに掲載をさせて頂いたのは東郷織物制作：夏大島。
そもそも、夏大島、また、綿織物である綿薩摩は、この東郷織物からつくり出されていた織物。伝統的な大島紬とは一線を画した織物になるかもしれません。しかし、伝統に阿ることなく求められたその織物は、これ以上ない程に、細密、かつ、流麗な美しさを備えた織物です。

掲載をさせて頂いる夏大島は、「秋草」の景色が大きなうねりをもって表現されているのが魅力です。大きなデザイン構成でありながらも、細密な絣描写で織り出されているため、"うねり"には柔らかさが感じられます。まるで染められているかのように映るその"秋草の景色"は、着物としての余所行き感を伝えてくれています。
夏衣裳の趣とか、風情と言った夏着物の一番良いところが実に綺麗に表現されています。

東郷織物の夏大島でも、これだけ季節感覚が美しく織り出されている作品は、多くはありません。やはり、上質感ある帯とあわせてお楽しみ下さい。