山下健 制作:市松綾織
山下健氏は、かつて故柳悦博氏の(柳崇氏の実父)に師事していた染織工芸作家です。柳悦博氏の工房在籍時代には、助手として柳氏の作品制作に関わっておられ、独立後は、国画会会員として国展を通じて、毎年作品を発表されています。
こちらに掲載をさせて頂いている作品は、同じ構成の綾織と綾織を組み合わせ、市松模様を織り出した着尺作品です。国展で発表されているデザインと多彩色で構成された作品性ではありません。素材感と色合いをテーマとした無地感覚的な作品です。
山下健氏は、織物に使用する絹糸の制作から自身で手掛けています。
絹糸の精練、撚り掛け、そして、染色。素材から手を掛けることで色艶、生地感覚までも山下健氏の息遣いが沁みわたっています。
こちらの「無地織」は、そんな妥協のない仕事を重ねることで制作されています。
無地織でありながらも、綾織と綾織を重ねて織り出された市松織は、巧妙にデザインされた無地織としての存在感を想わせます。そして、絹の色艶に満ちた漆黒は、まるで色の脈動を伝えるかのような情感漂う彩りとして眼に映ります。それは、幾何学的なデザイン性や無彩色イメージを超えた、制作者の美意識から生まれた作品性に他なりません。
漆黒、ただ一色だけで織り出された市松綾織は、凜とした色艶と知性的な品位が魅力のお着物です。
=経歴= | ||
: | 鳥取県青谷町に生まれる | |
1973年 | : | 柳悦孝 柳悦博氏に師事 |
1976年 | : | 国展初入選(以降毎年出品) 第50回記念賞受賞 |
1977年 | : | 民芸館展出品(1980年まで毎年出品) |
同年 | : | 文春画廊での染織展に参加(以降 毎年出品) |
1985年 | : | 「織の五人展」に参加 |
1986年~ 1987年 |
: | 鳥取の手仕事五人展」に参加(東京/静岡) |
1992年~ 1994年 |
: | 「鳥取工芸の会展」に参加(鳥取大丸) |
1999年 | : | 国展会友優作賞受賞 |
2001年 | : | 国展会員に推挙される |
* | 着物と帯のあわせ.. |
・ | 北村武資 制作:経錦袋帯『仁和寺』とあわせてみました。 |
・ | 勝山健史 制作:九寸名古屋帯『フランス刺繍文』とあわせてみました。 |
・ | Reisia:手描きジャワ更紗染め帯とあわせてみました。 |
・ | 洛風林 制作:九寸名古屋帯『フロリチカ』とあわせました。 |
・ | 北村武資 制作:経錦袋帯『太子間道』とあわせてみました |