洛風林制作： 九寸名古屋帯
『ウクライナ更紗』

工芸帯地"洛風林"制作の九寸名古屋帯。

『ウクライナ更紗』のデザインは、ウクライナの首都キエフにあった刺繍布の図案からデザインされた作品です。ウクライナには、病気、悪霊、禍などから身を護るための「魔除け」として刺繍が施された女性の民族衣装(ソロチカ)があるそうです。それは、白地に、小花、菱型、渦巻き型などのデザインが真っ赤に刺繍されたブラウスのような衣装で、「白に赤の刺繍」というシンプルなデザインに願い祈りなどの意味を託しながらも、女性を飾る美しさをも表現されています。

この『ウクライナ更紗』の「更紗として花のデザイン」には、西ヨーロッパ的な煌びやかな装飾性は感じられないし、19世紀西ヨーロッパで興ったアール・ヌーヴォーから始まるデザイン性や、イギリスのアーツ・アンド・クラフツから生まれたデザインとも違います。花のかたちも、曲線が描く茎のかたちも独創性に満ちているように感じられます。その独創性は、東ヨーロッパ、ウクライナに古くから伝承されて来た民俗的なデザイン性から湧き上がって来ているのかもしれません。

こうしたウクライナの刺繍から写された『ウクライナ更紗』は、不思議なくらいに文化の違う｢着物｣に馴染んでくれます。世界の文様を帯としてデザイン展開している洛風林ならではのセンスが活かされていのるのかもしれませんね。古来の着物感覚とは違う現代的な着物感覚をお楽しみ頂ける帯です。