洛風林 制作： 九寸名古屋帯
『唐花回々錦』

工芸帯地"洛風林"制作の九寸名古屋帯。

『唐花回々錦』は、名物裂集に挙げられている錦織の織物を元に図案がつくられています。関心を擽ぐるのは、その錦織が、そもそも、17世紀ペルシャで、金銀モールで製織された織物であることかもしれません。
名物裂は、鎌倉時代以降に渡来した織物で、文化人や数寄者に愛好されて、国内でも「名物裂」、あるは「名物裂写し」として受け継がれてきた文様です。
この数百年前に渡来した名物裂も、現在では、日本の伝統的な文様として捉えられることが一般的になっています。

この『唐花回々錦』は、そんな名物裂文様から興されたデザインである筈なんですが、伝統的な空気感を色濃く感じることありません。むしろ、エキゾチックな薫りが匂っている様に感じられます。例えば、「唐花」って言葉を「アラベスク(＝イスラム文化の影響を受けた唐草模様)」に置き換えてみると、この『唐花回々錦』のイメージが、とても良伝わって来ます。
また、「回々(かいかい)」は、ポルトガル語の「mogol」を語源とした「モール」を当てた漢字表記とのこと。
世界の文様を由来とした帯地を制作する洛風林らしい作品ですね。

また、この『唐花回々錦』は、その出典由来以上に趣深い印象を憶えます。
「唐花」がくるくると回転している様子、それも花と茎が、まるで心地良くダンスでも踊っているかの様子に映ります。ついつい、そう感じるてしまいそうです。綺麗、麗らか、または、気品などと言った装飾美とは違う豊かさや趣に満ちた帯のように感じられます。

小紋や紬などのお着物にあわせてお楽しみ下さい。

制作：洛風林