洛風林制作：九寸名古屋帯『雷文』

「雲」の図案、「稲妻」の図案、それらは古代中国の神仙思想由来の吉祥を暗示する図案とされ、古来より神社仏閣の装飾にも見掛けられます。「雲」や「稲妻」の絵には、どうやら説話的な意味合いが込められているみたいですが、何処か滑稽な空気が感じられます。言葉よりも絵で伝える。もしかすると、漫画的な表現に近いのかもしれません。見ていると、心や感情に、そのユーモラスな空気が自然に入り込んで来るのを憶えます。

こちらに掲載させて頂いた『雷文』にも、少しだけ滑稽で、優しい寓話的な空気が漂っているようです。
曲線でデザインされた「雲」と直線でデザインされた「稲妻」、天を縁起にしたよく似た「雲」と「稲妻」が揃って、まるで、ふざけ合いながら音楽でも奏でいるようにも見えて来ます。

古典模様でありながらも、時代も感じさせない、上品で素敵なデザインの帯です。