勝山健史 制作：薄絹 九寸名古屋帯
作品名：八幡裂

西陣織帯地の作家.勝山健史氏が手掛けた夏季の織物：薄絹織の九寸名古屋帯。

制作者 勝山健史氏が手掛ける作品からは、『絹』の格別な美しさが感じられます。もしかすると、他のどんな絹よりも綺麗と感じられるかもしれません。それは、絹そのものの美しさに加えて、絹が最も美しく映るための作意をもって作品制作に臨んでいるからなのだと思います。
作品デザインと絹の存在感のバランス感性は、常に巧みです。どんな作品にも、絹の美しさに満ちているし、また、絹の存在感は、作品のデザイン性に馴染んでいます。
このデザイン性と絹織のバランス感覚が、勝山健史の美意識なんだと思います。

こちらに掲載をさせて頂いた作品は、地紋だけでデザイン構成されています。
織り出されているデザインは、平安時代から宮中に伝承されて来た有職文様(小葵文様)。鳳凰の羽根を菱型に組み、中央に花模様が据えられています。そもそも、皇族の衣裳に用いられた有職文様です。

オフホワイト一色で織り出されたこの作品からは、絹織が白い光で包まれている様な綺麗さが伝わって来ます。緊張感のある綺麗さではありません。そして、雅やかな有職文様を、現代的なデザイン感性に満ちた作品として仕上げられています。
絹の光沢を控え、オフホワイトの色彩感覚が活かされています。薄絹だから表現出来る絹と色がつくる格別な空気感が生まれています。絹だけが主張する訳ではない、色だけが印象的に映らない、そして、有職文様が光と絹の中で柔らかに浮き上がって見えるのです。

夏季/お単衣の余所行き以上のお着物にお楽しみ頂けます。