無鄰庵に行って来た

国際交流会館和風別館
勝山健史織物展の会場

 ● 先月4月26日。Blogでもご案内をさせて頂きました帯地作家勝山健史展に出掛けて参りました。

展示されていた作品は、現代の染織芸術を想わせる様な、前衛的な美意識に満ちた作品でした。何にも似ていない作品性、そして、これまでにない作品性を伝える美しい染織作品です。
会場となった国際交流会館和風別館は、南禅寺近くにある和風の建物で、趣もありました。私が訪れた時間には、ちょうど良い日差しが挿し込み、作品とお庭の光景のコントラストを楽しむことが出来ました。
会場、及び、作品の写真撮影はNGなので、この時の作品は、あらためてご紹介をさせて頂きます。

この個展に帰りに南禅寺別荘群のひとつ無鄰庵(むりんあん)に立ち寄ってみました。

今回のBlogでは、この無鄰庵で撮影した写真を掲載させて頂きます。

 ・ 無鄰庵は、1896年(明治29年)に造られた宰相山縣有朋の別邸です。広大な土地を有する別邸で、東山を借景とした景観と琵琶湖疎水の水を利用した庭園は作庭家小川治兵衛が手掛けています。

そもそも、この辺りは南禅寺の寺領でしたが、明治初期の廃仏毀釈によって寺領の一部が上知され、その後、広大な庭園を有する邸宅が建てられるようになりました。それを南禅寺別荘群、または、南禅寺界隈別荘となどと呼ばれ、現在では15の邸宅が残されています。

無鄰庵は、南禅寺別荘群の中で、一番最初に建てられた別荘で、現在は京都市が所有管理され、国定名勝に指定されています。

池と芝生を配した池泉廻遊式庭園
小川のせせらぎが心地良く耳に届きます。

風情のある数寄屋造り建築

無鄰庵カフェなんて紹介されていますが、母屋で珈琲、御抹茶などを楽しむことが出来ます。

母屋からの景観は作庭家の作意を基に造られた光景にも関わらず、自然の美しさ、あるいは季節の美しさを感じさせてくれます。

藪内流燕庵写しの茶室

 ・ 煉瓦造りの二階建て洋館(1898年/明治31年竣工)もあります。
外観は洋館と言うより煉瓦造りの蔵のように映るかも知れません。この洋館2階は、日露戦争開戦前の1903年(明治36年)4月21日に、外交方針を話し合うべく「無鄰庵会議(元老 山縣有朋、政友会総裁 伊藤博文、総理大臣 桂太郎、外務大臣 小村寿太郎)」が行われた場所とのことです。

写真に映っている障壁画は、江戸初期の狩野派に依る金碧花鳥図で、西洋的なしつらいの中にも、不思議な程に違和感を感じさせない存在感がありました。

 ・ 4月後半のこの日、始めて無鄰庵を訪ねるには、ほぼ理想的な陽気だったと思います。
南禅寺別荘群の庭園管理をしている庭師が、季節毎の景観に馴染む水の音を来訪者に楽しんで貰えるように、常に庭や小川の手入れをしていると聞いたことがあります。
庭園から母屋に抜ける風には、涼しさを感じられたし、庭の小川のせせらぎが、遠くから近付いてくる夏を予感させてくれる気がしました。

是非とも南禅寺辺りにお出掛けの際は訪ねてみて下さい。

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