お単衣の"着物と帯のあわせ"..、夏久米島ヤシラミ織+西陣織名古屋帯

夏久米島ヤシラミ織.車輪梅染めお盆のお休みが終わり、ほぼ1週間。
まだまだ、名古屋では連日暑さが続いています。

とは言え、二十四節季では、暑さが止む頃..、処暑(しょしょ)にあたる時季でもあります。

9月まで、あと1週間ほど..。
暑さを懐かしむ時季まで、あと僅かなのかもしれません。

そんな訳で..、"着物と帯のあわせ"として"秋口のお単衣"を取り上げてみたいと思います。

掲載をさせて頂いている着物は本場久米島紬の夏織。
以前、初夏のお単衣の"あわせ"にてオフホワイト系のものをご紹介させて頂きましたが、こちらは少々薄いブラウン掛かっています。
織もオフホワイト系のものは無地織であったのに対して、琉球織物で言う"ヤシラミ織"で織られています。

夏織/単衣を想定して織物であるのですが、秋を感じさせてくれる雰囲気をもっています。

オフホワイト系のもの程"強い余所行き感"がある訳ではありませんが...、色的にも、織の感じ的にも...、街着的な織物に止まるものではありません。
街着よりも、更にひとつ.ふたつ上の感覚のお着物となります。


帯は西陣織九寸名古屋帯。
地色は、真っ白ではなくて、ほんの僅かにアイボリーが感じられます。こうした色...、真っ白に対して「ほんの僅かに掛かっている色」は、着物に馴染みやすい色なんです。

いま、お単衣のお着物に対して意識的に"白っぽい色"の帯をあわせているのですが...、これはこれとして、単衣的な演出を謀っているのですが...、こうした「ほんの僅かに掛かっている色」は、特に季節を限定して使われる帯の色ではないのです。

使い方ひとつで...、もちろん、織り込まれている、または、染められている柄模様にもよるのですが...、様々な時季のお着物に馴染んでくれるのです。
真っ白に対して「ほんの僅かに掛かっている」だけで、時季を意識させない色となるのです。

この西陣織に織り込まれた文様は、異国的な更紗を想わせる文様...、この文様だけに眼を向けてみると、日本的な印象ではなくって、無国籍的な織物のように映るかと思います。
ちょっと"洒落てる"と言う感じが伝わってくるのですが、ただ、洒落ている、遊んでいるだけではない...、どこか品位みたいな空気をもっているのです。

こうした遊び心と品位のバランス感覚は、大人を意識した着物の愉しみでは大切な空気感なんです。
この西陣織はとても良く出来ていると思います。

西陣織九寸名古屋帯.洛風林さて、ヤシラミ織の本場久米島紬/夏織と西陣織の"あわせ"ですが..、秋口のお単衣としては暑苦しくもなく、また"夏もの"的と言った様相でもないかと思います。
そして、雰囲気としては、遊んでいると言う感じでもなくて、どこかちゃんとしている、砕け過ぎない...、と言う感覚が感じられのではないかと思います。

着物の季節感を想う時、着物や帯の柄模様や彩色で、季節を表現することがあるかと思います。
秋口の単衣ならば、秋を表現した柄模様の着物や帯を使うと言う訳です。

しかし、この度の"あわせ"では、単衣を意識した織物の素材感..、本場久米島紬の夏織と言う素材と色をテーマとして、"秋"をイメージをさせる趣向で臨んでみました。

遊び過ぎていない大人の趣味趣向の"着物と帯のあわせ"です。