麗しき手描き京友禅...、絽染帯"扇面に紫陽花"

紫陽花 染め帯扇面に紫陽花が染め描かれた手描き京友禅の染帯。

夏季が表現されている訳なんですが..、その季節感を想う以前に、この「京友禅」の秀逸さに息を呑んでしまうんです。

何かを真似て出来ると言う程度の仕事では決してありません。

琳派が意識されたその趣向は、琳派を写しているのではなくて、琳派そのものを想わせる程に優れています。

京友禅は、職人の分業で製作される訳なんですが、この染帯に携わった職人は、それぞれの仕事の分野で最も"うるさい仕事(精緻な仕事)"を手掛ける人たちなのです。

しかし、すべて手仕事ですから、その時によってコンディションに差が生じる事もあれば他の職人との調和が適っているかどうかも、最終的な出来に影響を及ぼすものです。

この染帯に施された仕事は、すべての仕事において秀逸なのです。

どこが綺麗..、どこが良い..、と言う事ではなくて、図案としても、色の感性としても、友禅の感覚としても、箔の加減としても...、手描き京友禅として調和が取れているのです。

数多の京友禅を観ていると、こうした極上とされる仕事が施されたお品に触れる機会があります。
何時でも「あるもの」でもあるかもしれませんが、必ずしも"そうでない"。
実は、同じ職人が手掛けても「何か」が違うと、綺麗で極上であるかもしれないけれども..、綺麗であり、そして、極上である言葉で表現される..、「それだけ」で留まってしまうものなのです。

やはり、手描き京友禅は、それぞれの仕事を専門の職人が手掛けることで誂えられるため、すべての仕事にデリケートな調和が整った時、言葉では尽くせない感動を伝えてくれるお品が生まれる様なのです。

この「扇面に紫陽花」の染帯です..、写真が画像では、お伝えできない程、実際のお品は本当に感動的です。