新垣幸子作品/絣織九寸名古屋帯..、modern art? 

新垣幸子 絣織の八重山上布新垣幸子氏の染織作品のご紹介です。

絣織の九寸名古屋帯。
彩色は琉球藍と椎。

伝統的な琉球の絣文様とは一線を画されています。

八重山上布と言う印象や概念を忘れてみると...、まるでmodern artを想わせる作品の表現力が感じられます。

「単純な思い付き」とか「奇の衒い」と言ったものはありません。

絣織と植物染めによって表現された「デザイン」には制作者の創造性が伝わって来るようです。

見た眼には個性的と感じられるかもしれませんが、ちょっと時間を掛けて眼にしていると...、ごく自然な存在感みたいなものが伝わって来るのです。

藍と灰色、きなり..、絣織で表現された「デザイン」。
大胆でもありながらも、違和感を感じさせない調和が保たれているのです。

誰にでも出来ることではありません。
卓絶した染織技術と豊かな感性、そして、八重山上布と言う織物に対する愛情が相俟って生まれてくる作品なのだと思います。


*「八重山上布」ついて...

八重山上布は、主に石垣島で生産される麻織物で、その起源は定かではありませんが、少なくても琉球王朝時代まで遡ることが出来ます。八重山諸島に自生する植物による草木で染められるその麻糸は、苧麻糸(ちょまいと)と呼ばれる人間の手で糸績みされた麻糸(緯糸として)を使用します。
同じ苧麻糸で織られた上布との違いは、南国を想わせる色鮮やかな彩色と琉球染織特有の絣文様が織り込まれることです。
八重山上布一反織り上げるのに要する時間は、糸を機に掛けてから、2ヶ月あまりは掛かると言われています。
機織りをはじめる以前に、糸染めや糸整理などの時間を考えると、膨大な時間と手仕事を必要とされる織物なのです。